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令和3年10月4日、衆参両議院において内閣総理大臣として岸田文雄衆議院議員が指名されました。
その日のうちに、岸田内閣総理大臣は、20名の国務大臣を任命しました。その後、皇居において天皇から内閣総理大臣に任命され、各国務大臣等は天皇の認証を受けました。
岸田内閣の発足です。
岸田内閣総理大臣は、明治時代の初代内閣総理大臣伊藤博文から数えて第100代内閣総理大臣になります。
これらの手続は全て日本国憲法に決まりがあります。すなわち、憲法に基づいて内閣総理大臣が選出されているのです。
第67条第1項は、衆参両議院(国会)において、国会議員の中から内閣総理大臣を指名すると定めています。
第67条2項において、衆議院と参議院が指名した内閣総理大臣が異なった場合は、最終的に衆議院の議決を国会の議決とするという衆議院の優越が定められています。
衆参両議院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ国会」において両院の指名が異なる場合に内閣総理大臣を選出するための規定です。
このように内閣総理大臣は、国会議員(衆議院議員又は参議院議員)から選ぶ決まりになっています。
内閣総理大臣が国務大臣を任命することは、第68条第1項本文に定められています。
国務大臣は過半数が国会議員の中から選ぶことが第68条第1項但し書きに定められています。
内閣総理大臣と異なり、国務大臣については民間からの登用が認められているのです。
天皇が国会の指名を受けて内閣総理大臣を任命することは、憲法第6条1項に定められています。
そして、第7条1項において、天皇は内閣総理大臣による国務大臣の任命を認証するとされています。
ちなみに、憲法は、第4条1項において天皇は憲法に定める国事に関する行為のみ行い、国政に関する権能を有しないと規定しています。
このような日本国憲法が採用している統治の仕組みは、立憲君主制、そして議院内閣制と呼ばれています。
君主である天皇や国王の権力を憲法により制限している政体を立憲君主制といい、内閣(政府)の在職要件が議会(国会)の信任に基づいている政体を議院内閣制といいます。
内閣総理大臣の選出と国務大臣を決める組閣において、①内閣総理大臣が国会議員の中から国会の指名により選ばれること、②内閣総理大臣が任命する国務大臣の過半数が国会議員でなければならないことの二つが、日本国憲法が議院内閣制を採用していると言われている理由となります(日本国憲法が議院内閣制を採用している根拠は学説上他にもありますが、この度の行われた内閣総理大臣の選出と組閣の手続において現れている根拠はこの二つになります。)。
このようにアメリカ合衆国のような大統領制と異なり、日本では国民が直接行政のトップを選出することはできず、国民が選んだ国会議員が内閣総理大臣を選ぶ仕組みになっています。
では、日本では大統領を選出するように直接内閣総理大臣を選出する制度(首相公選制)に変更することはできないのでしょうか。
これまで説明してきたとおり、現在の憲法では国会議員の中から国会が内閣総理大臣を指名する決まりになっている以上このままではできないことになります。
首相公選制により内閣総理大臣を選出するためには日本国憲法を改正する必要があります。
憲法の改正については、憲法第9章に規定があります。
第96条1項は、憲法の改正には、衆参各議院の総議員(出席議員ではありません。)の3分の2以上で、国会が発議(審議を求めること)して、国民に提案し、国民の過半数の賛成が必要としています。
一般の法律は、衆参両議院の出席議員の過半数で制定(法律の改正も含みます。)することができるのに対して、かなり厳しい要件となっています。
憲法は、国民の権利や国家の基本を定めている法であるため、容易に改正ができないことになっています。
このような性質を持つ憲法を硬性憲法と呼んでいます。
日本国憲法は戦後制定されてからこれまでに改正されたことは1度もありません。
このような状況を踏まえると、首相公選制を実現することはなかなか困難であるかも知れません。
ところで、岸田内閣総理大臣が就任する前、マスコミ各社が自由民主党の総裁選挙を大々的に報道しました。
しかし、自由民主党をはじめとする各政党は、あくまで「私的な」団体に過ぎません。
自由民主党の総裁選出のための選挙権は、当然ですが、国会議員の選挙権のように日本国民の成年者に与えられているのではなく、自由民主党の党員に与えられています。
私的団体のトップを決める選挙についてなぜマスコミ各社は熱心に報道をするのでしょうか。
それは、自由民主党の総裁に選出された人物(もちろん国会議員であることは必須です。)が事実上内閣総理大臣になることが決まっているからです。
自由民主党の総裁に選出された国会議員を与党である自由民主党と公明党の国会議員が指名することになっているからです。
選挙の結果、岸田衆議院議員が自民党総裁に選出されたので、この時点で事実上次期内閣総理大臣に岸田衆議院議員がなることが決まったといえるのです。
現在の国会は、自由民主党と公明党が連立して多数派として与党を形成しています。
もしも、民主党政権時代のように自由民主党が野党であればこのようにマスコミに注目されることはなかったでしょう。
逆に与党であった民主党の代表の選出が注目されていました。
このように日本においては、国民は直接行政のトップである内閣総理大臣を選出することはできず、あくまで国会議員を通じて間接的にしか選出できないのです。
民主主義国家において、国民の意思を国政にどのようにして反映させるかについては、様々な考え方や仕組みがあり、各国で異なっています。
各国においてどのような政体が相応しいかについては従来から現在に至るまで議論があるところです。